エリツィンは、1990年にロシア共和国大統領になり、ソ連崩壊後も引き続いてロシアの大統領を務めた。しかし、エリツィン時代は深刻な物不足と拙速な市場経済化による貧富の差の劇的な拡大、政治の腐敗など、多難な時代であった。
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ソ連が崩壊すると、エリツィンの方針に伴い社会主義から資本主義へと国家体制の移行が進められた。その過程で莫大な富を手にしたオリガルヒと呼ばれる新興財閥が多数誕生した。しかし、資本主義化はハイパーインフレーションを引き起こし、国民は貧困と物不足にあえいだ。1993年の下院選挙では民族主義とロシア帝国復活を掲げる極右政党「ロシア自由民主党」が第一党に躍進した。しかし、自由民主党はすぐに凋落し、共産主義の復活を掲げる「ロシア連邦共産党」に第一党の地位を奪われた。1996年の大統領選挙でロシア連邦共産党のゲンナジー・ジュガーノフ候補はエリツィンに肉薄するものの一歩及ばず、エリツィンの再選を許した。エリツィン再選にはオリガルヒ達の力によるものが大きかった。そして、エリツィン政権二期目では、オリガルヒの発言力が増し、政治腐敗が蔓延していった。1998年にはロシア金融危機が発生。国内は混乱した。
1999年12月31日、エリツィンは電撃的に大統領辞任を表明。大統領代行にウラジーミル・プーチンが就任した。ここに、ロシア国民にとっては多難であったエリツィン時代は幕を閉じた。
プーチン政権
元KGBのウラジーミル・プーチンは、2000年3月の大統領選挙に勝利し、正式に大統領に就任した。ロシアは、15の共和国に分離した後、チェチェン独立派武装勢力によるテロが起こるなど治安が悪化しチェチェン紛争や、他国との領土問題などが絶えない。プーチンは、「強いロシア」を標榜し中央集権化及び法による独裁を強靱に進めた。また、国家資産を半ば私物化していたオリガルヒの制圧に乗り出し、ロシアの国益にかなう企業のみを国有化ないし政府の人間を企業の役員に加えることで国のコントロール化においた。こうした手法は強権的と欧米から批判される一方でロシア国民からは広く支持された。また、プーチン時代、ロシアの持つ豊富な天然資源が功を奏し、年々高い経済成長を遂げ、エリツィン時代に比べ貧困も半減した。一方、プーチン時代は反政府的なジャーナリストたちが不審な死を遂げるなど、政権の関与が疑われる事件も多数発生した。しかしながら、プーチンの強力なリーダーシップを国民の多くは支持している。プーチンは2008年に任期満了で退任し、後継に側近のドミートリー・メドヴェージェフを指名した。プーチン自身は引き続き首相として政界に止まり最高権力者の座を維持し、2012年の大統領選より大統領任期を6年とする憲法改正案も議会の賛成多数を得て承認され、自身の再登板の足がかりを得ている。
メドベージェフ政権
2008年3月の大統領選挙で大勝し、正式に大統領となったドミートリー・メドヴェージェフはプーチン路線の継承を表明した。すなわち国家による経済の統制を引き続き行い、また、「強いロシア」の復活を目指し邁進するといったことである。2008年8月にはかねてから対立関係にあったグルジアとの間で武力衝突が発生した(南オセチア紛争)。この紛争で、プーチン時代からかねてより悪化していたアメリカとの関係が更に悪化し、「新冷戦」と評するメディアも表れた。メドヴェージェフ自身、「再び冷戦が始まっても何も怖いものは無い」とアメリカとの対決姿勢を表明している。そして、南オセチア紛争から程無くして世界の景気が急速に悪化、ロシアの経済成長を支えていた外国資本が一気に去り、オリガルヒも没落するなど、ロシア経済は大きな打撃を受けた。メドヴェージェフは「景気悪化はアメリカによる一極支配が原因」とアメリカを非難し、更にプーチン首相と連携して不況を乗り切る構えを見せている。そのために現在、国家に有益なオリガルヒのみを救済、国のコントロール化に置く政策を実行している。しかし、政権支持率は低下してきており、今後の政策次第ではプーチンとの二頭体制が揺らぐ可能性もある。それを防ぐ為、現政権はソ連崩壊で手に入れた民主主義を捨てるようなことも行っている。プーチン政権末期には与党「統一ロシア」に有利になるよう、議席が獲得できる最低得票率を引き上げ、選挙監視員も拒むなど、選挙の透明性において欧米諸国から批判されている。メドヴェージェフ政権発足以降もこうしたことは行われている。2009年3月1日の統一地方選で統一ロシアは圧勝したが、その裏では政権側が有権者を酒で買収したり、選挙監視員を拒むなどしており、野党から批判されている。しかし、大多数のロシア国民は政権を支持ないし反対はしておらず、民主主義よりも経済成長と強いロシアの再建を支持していると言える。そしてロシアは反米的なベネズエラ、イラン、中国と関係を強化しており、2010年代に入ると本格的に新冷戦が始まると予想される。